TOP
TOP
最低賃金法違反の罰則は?書類送検の事例と給料を取り戻す方法を解説
2026.10.01 ・ 編集部 ・ お金/未払い給与 ・ 約17分で読めます

最低賃金法違反の罰則は?書類送検の事例と給料を取り戻す方法を解説

💡 サクッと結論!

  • ✅ 地域別最低賃金を下回れば50万円以下の罰金(刑事罰)。
  • ✅ 労基署の司法処分は罰則であり、差額は口座に自動で戻らない。
  • ✅ 差額請求の時効は3年。言い出せないなら労組の活用も選択肢。

最低賃金法違反は「支払いが遅れている」という民事のトラブルにとどまらず、罰金刑が科される明確な法律違反です。地域別最低賃金を下回る賃金しか支払わなかった場合、会社だけでなく経営者個人も50万円以下の罰金に処せられることがあります。

給与明細を開いて振込額だけを確認し、そのまま閉じる。その繰り返しのなかで「時給換算したら最低賃金を下回っていた」というご相談は後を絶ちません。

本記事では、2026年8月に報じられた書類送検事例を入口に、最低賃金法違反の罰則、労基署が動いた際に起きること・起きないこと、給与のセルフチェック方法、そして未払い差額を回収する具体的手順までを労働組合の視点から解説します。

※この記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。


★ 11か月中10か月分の給料が未払い|2026年8月の書類送検事例

2026年8月12日のあいテレビの報道によると、松山労働基準監督署は、愛媛県松山市で障がい福祉サービス事業所を運営する合同会社と、その実質的な代表者である女性を、最低賃金法違反の疑いで松山地検に書類送検しました。

報道によると、職員1人に対し、2024年4月1日から2025年2月28日までの11か月のうち10か月分、合計約170万円の給料を支払わなかった疑いが持たれています(捜査上の理由から認否は非公表、容疑の段階です)。

【この報道から読み取れる重要ポイント】

  • ✓ 賃金不払いは労働トラブルにとどまらず刑事事件として立件される
  • ✓ 被害者が従業員1人だけでも、労基署は捜査・送検に踏み切る
  • ✓ 法人(会社)だけでなく、実質的代表者(個人)も送検対象になる

「たった1人の問題だから相手にされないのではないか」と泣き寝入りする必要は一切ありません。行政や司法は、1人の労働者の権利侵害に対しても厳格に動きます。

💡 「自分ひとりのことだから」と我慢して黙る理由はどこにもありません。

★ 最低賃金法違反の罰則は?地域別なら50万円以下の罰金

違反に対する罰則は、下回った最低賃金の種類(地域別か産業別か)によって規定が異なります。各都道府県に適用される「地域別最低賃金」を下回った場合は最低賃金法が適用され、50万円以下の罰金が科されます。

最低賃金法(e-Gov法令検索)

下回った最低賃金の種類 罰則 法的根拠
地域別最低賃金(47都道府県ごと) 50万円以下の罰金 最低賃金法 第40条
特定最低賃金(産業ごと) 30万円以下の罰金 労働基準法 第120条
申告した労働者への報復(解雇など) 6か月以下の拘禁刑 または 30万円以下の罰金 最低賃金法 第39条

出典:大阪労働局「最低賃金法の違反の罰則について」

罰金の対象は会社組織にとどまらず、経営者や労務責任者個人にも及びます。また、「本人が納得して契約した」という会社の言い分は法的に一切通用しません。最低賃金法第4条2項により、下回る賃金合意は無効となり、法律上「最低賃金額で契約を結んだ」とみなされます。

💡 合意書にサインしていても最低賃金割れの部分は法律上無効です。差額は正規の未払い賃金として請求し続けられます。

★ 労基署が動いても、未払いの差額が自動で戻るわけではない

多くの解説で見落とされがちなのが「行政・刑事手続き」と「民事手続き」の違いです。労基署による立件や書類送検は、会社を罰するための手続きであり、労働者の口座に未払い給与を振り込ませる民事執行機関ではありません。

労基署の是正勧告を受けて会社が自主的に支払うケースは多いものの、会社が居直った場合に労基署が強制的に取り立ててくれるわけではありません。確実にお金を回収するには、最終的に労働者側からの民事請求(請求書送付や労働審判など)が必要です。

とはいえ、行政指導には強い抑止力があります。厚生労働省が公表した監督指導実績を見ても、指導による解決割合は非常に高い水準を維持しています。

全国労働基準監督署の所在案内(厚生労働省)

監督指導の集計項目(令和7年) 実績値
監督指導を実施した事業場数 22,605件
対象となった労働者数 173,016人
指導により実際に支払われた賃金額 109億9,703万円(約110億円)
確認された不払い賃金の総額 128億5,782万円

出典:厚生労働省「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和7年)」(2026年8月21日公表)

指導件数ベースで96.1%が解決している一方、年をまたいで未払いが残る案件も存在します。「労基署に言えばすべて自動で振り込まれる」と過信せず、自分の手元にも証拠を固めて請求の手を打つことが鉄則です。

💡 労基署は「法律違反を罰し、是正させる機関」。あなたに代わってお金を取り立てる代理人ではありません。

★ 自分の給料は最低賃金を下回っている?計算方法と含めない手当

最低賃金を割っていないか確認するには、毎月決まって支払われる「基本の賃金」を時間あたりの額(時間額)に割り戻し、事業場所在地の地域別最低賃金と比較します。

給与形態ごとの時間額換算式

  • ・時給制:支給されている時給そのもの
  • ・日給制:日給 ÷ 1日の所定労働時間
  • ・月給制:対象となる月給額 ÷ 1か月あたりの平均所定労働時間

ここで最も注意すべきなのは、総支給額をそのまま割ってはならないという点です。法律上、以下の手当は最低賃金の計算から除外しなければなりません。

【最低賃金の計算に含めてはいけない賃金】

  • ✕ 結婚手当・慶弔手当など臨時に支払われる賃金
  • ✕ 賞与(ボーナス)など1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
  • ✕ 時間外手当(残業代)・休日手当・深夜割増などの割増賃金
  • ✕ 精皆勤手当、通勤手当、家族手当

特に見落としがちなのが「固定残業代(みなし残業手当)」です。たとえば「月給20万円(固定残業代4万円含む)」の場合、最低賃金と比較できる素の賃金は16万円です。見かけの金額だけで判断すると、知らぬ間に最賃割れが生じているケースが多発しています。

※最低賃金の減額特例制度(試用期間中や軽易業務など)は、都道府県労働局長の許可を得た場合にのみ例外的に適用されます(最低賃金法7条)。会社独自の判断で引き下げることは認められません。

💡 総支給額で計算してはいけません。諸手当や残業代を引いた「素の基本給」で計算してください。

★ 2026年度は全国平均1,176円へ|改定期は「気づかない最賃割れ」が多発

近年、最低賃金は大幅な引き上げが続いています。2026年7月28日の中央最低賃金審議会答申では、目安引き上げ額がAランク54円、Bランク56円、Cランク56円(全国加重平均+55円、1,176円)と示されました。

ここで注意すべきは、「改定の発効日は都道府県ごとに異なる」という点です。「10月1日に一斉に変わる」と思い込んでいると、正確な違反時期を逃してしまいます。

都道府県 2025年度の時間額 発効年月日
東京 1,226円 2025年10月3日
大阪 1,177円 2025年10月16日
愛媛 1,033円 2025年12月1日
秋田 1,031円 2026年3月31日
全国加重平均 1,121円 —

出典:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」

特に危険なのは月給制で働く方です。月給額が変わらないまま地域別最低賃金だけが改定されると、去年までは合法だった給与が、改定日を境に違法な「最賃割れ」へと転落します。

【要注意チェックリスト】

  • ! 月給の額面が数年間据え置かれたままになっている
  • ! 基本給が低く抑えられ、固定残業代などの比率が高い
  • ! 所定労働時間が長い(1か月の所定が175時間を超えるなど)

これらに当てはまる方は、最寄りの最低賃金が改定されるタイミングで必ず時間額の割り戻しを行ってください。


★ 最低賃金を下回っていたときに、今日からできること

差額の回収は、「①証拠集め」「②会社への請求」「③労基署への申告」という3段階で進めます。

【差額を取り戻す3ステップ】

  • 1. 給与明細と勤怠記録を確保し、月別の未払い差額を算出する
    (タイムカード、シフト表、業務チャットログなど客観的な労働時間記録を在職中に手元へ集める)
  • 2. 会社へ書面や電子メールなど形に残る方法で支払いを請求する
  • 3. 応じない場合は管轄の労働基準監督署へ申告する

「労基署に言うと会社から嫌がらせを受けるのでは」と心配されるかもしれませんが、法律は労働者を保護しています。最低賃金法第34条2項により、申告したことを理由とする解雇や減給などの不利益取り扱いは厳格に禁止されており、違反企業には「6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」が科されます。また、申告時に自身の名前を伏せて指導してもらうよう申し出ることも可能です。

総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)

💡 未払い賃金の請求権は「支払期日から3年」で時効消滅します。悩んで行動を先延ばしにしている間にも、古い月の分から1か月ずつ権利が失われていきます。

★ 言い出せないまま辞めたいなら、労働組合の退職代行という方法も

もし会社側が頑なに拒否し、裁判を起こして強制回収することまで見据えるなら、訴訟代理権を持つ弁護士へ依頼するのがベストです(公務員等も弁護士の対応領域となります)。

一方、「違法な給与のまま働き続けたくないが、直接言い出すのは怖い」「辞めると伝えたあとの嫌がらせに耐えられない」という方には、労働組合が運営する退職代行という現実的な手段があります。

退職代行テミスは、労働委員会の資格審査を経た正規の労働組合「労働基準調査組合」が運営しています。正社員・契約社員・派遣社員は税込22,000円、パート・アルバイトは税込12,000円。退職の意思伝達、有給休暇の消化交渉、退職日の調整、そして未払い給与の支払い申し入れまで一括で担います。

※追加料金は原則不要ですが、振込手数料・後払い手数料等は別途発生します。

未払い賃金の請求について率直にお伝えすると、勤怠記録などの客観的証拠が揃っており、ご自身で差額を計算されている場合、退職連絡と合わせて当組合から会社へ追加費用なしで支払いを申し入れます。労組からの申し入れで自主的に清算に応じる企業は数多くあります。それでも会社が拒否し続ける場合は、ご自身で労働審判を申し立てるほうが弁護士費用を抑えられて費用対効果が高くなります。そうした見通しも含めてご相談いただけます。

退職時にテミスへ任せられること

  • ○ 退職の確実な伝達と引き止めへの毅然とした対応
  • ○ 有給休暇の完全消化・退職日の法的な交渉
  • ○ 未払い給与・退職金の支払い申し入れ
  • ○ 離職票など退職書類が手元に届くまでのサポート(期限なし・無料)
運営元 会社との交渉 裁判での代理 費用の目安
民間の代行業者 できない(非弁行為の恐れ) できない 1万円〜2万4,000円ほど
労働組合(退職代行テミス) できる(団体交渉権) できない 2万2,000円 / 1万2,000円
弁護士 できる できる 5万円〜10万円ほど+成功報酬

※憲法28条および労働組合法に基づき、労働組合には会社と直接交渉する「団体交渉権」が法的に認められています。

💡 出社も上司への電話連絡も不要です。言いにくい権利の主張は、労働組合へ安心してお任せください。

★ 最低賃金法違反に関するよくある質問(FAQ)

Q: 最低賃金法違反の罰則はいくらですか?

A: 各都道府県の「地域別最低賃金」を下回った場合は、最低賃金法第40条により50万円以下の罰金です。特定の産業ごとに定められる「特定最低賃金」を下回った場合は、労働基準法違反として30万円以下の罰金が科されます。会社だけでなく、経営者個人が書類送検・処罰されるケースもあります。

Q: 会社と合意していれば、最低賃金を下回っても問題ないですか?

A: 明白な違法です。最低賃金法第4条2項に基づき、最低賃金を下回る賃金の合意は法律上無効となり、自動的に最低賃金額の契約を結んだものとみなされます。同意書や雇用契約書に自筆でサインしていても、差額を後から全額請求できます。

Q: 労基署に申告したら、会社から嫌がらせや報復を受けませんか?

A: 最低賃金法第34条2項により、申告を理由とする解雇や減給などの不利益取り扱いは固く禁じられています。違反した使用者は6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処せられます。また、申告時に自身の名前を会社に明かさないよう申し出ることも可能です。

Q: 最低賃金との差額は、いつまでさかのぼって請求できますか?

A: 賃金請求権の消滅時効は「支払期日から3年間」です(労働基準法第115条)。過去3年分までは適法にさかのぼって取り戻せますが、それを超えた分は請求できなくなります。違法状態に気づいたら速やかに証拠を確保することが重要です。

Q: 最低賃金を下回る給料のまま辞めたい場合、退職代行で請求できますか?

A: 労働組合運営の退職代行であれば、退職意思の伝達と同時に未払い給与の支払いを正式に申し入れ可能です。退職代行テミスでは、証拠が揃い金額をご自身で計算されている場合、追加料金なしで申し入れを行います。会社が拒絶した場合は、ご自身での労働審判申し立てが最も費用対効果の高い手段となります。


★ まとめ|罰則は会社に科されるもの。差額を取り戻すのは自分の行動から

最低賃金法違反には「50万円以下の罰金」という刑事罰が定められており、たとえ被害者が1人であっても書類送検・立件される重大な事案です。会社との間でどのような合意文書があっても、法的には一切無効です。

ただし、罰則はあくまで行政・司法が会社を罰する枠組みであり、待っているだけで口座に差額が振り込まれるわけではありません。取り戻すためには、在職中に給与明細や勤怠データを集め、時間額を算出して自ら請求することが欠かせません。時効は3年です。

判断の軸は、「その会社で働き続けながら、気兼ねなく差額を請求できるか」です。言い出せないまま時間が過ぎて時効を迎えてしまうくらいなら、退職の手続きと未払い分の申し入れをまとめて労働組合に委ね、次の生活へ踏み出すほうが賢明です。

我慢の時間まで、会社に無償で差し出す必要はありません。

最低賃金を割った給料のことも、まずはLINEで状況をお聞かせください。

退職代行テミスは労働組合として会社と直接交渉します。
料金は正社員・契約社員・派遣社員は税込22,000円、パート・アルバイトは税込12,000円。相談は完全無料です。

💬 今すぐLINEで無料相談

この記事をシェア